コロナウィルスによる外出自粛から考える子どもの教育
2020年06月05日
緊急事態宣言が解除され、幼稚園・保育園・学校が再開することに伴い、外出自粛を強いられていた子どもたちがやっと外出し、学校や保育施設での集団生活を取り戻すができるようになりました。しかし、本当に我々は元の生活を取り戻すことができるのでしょうか。
先日5月27日の日本経済新聞では緊急事態宣言解除後も多くの保護者が登園・登校による子どものコロナウィルスへの感染を心配していることから、今後の不安を抱える学校関係者向けに、感染拡大防止のための対応をサポートする団体やオンライン授業の体制整備をサポートする問い合わせ窓口の案内などが紹介されていました。
実際、私自身、学校が再開したとはいえ、子どもをすぐに外で遊ばせること、集団生活に戻すことに非常に抵抗があり、コロナウィルスが完全に落ち着くまでは自主的に自粛を強いる生活を希望しております。一方、自粛活動をしすぎて、子どもの行動範囲を狭めることによる子どもへの心理的な影響、そして学校に行かないことによる学力の低下が懸念されます。何事もバランスが大事といいますが、今回はなるべく外出自粛を続ける方に向けて在宅でできる子どもの教育について考えていきたいと思います。
≪家庭での子どもの学力低下を予防策≫
学校に行かない、あるいは長期休校の環境下で子どもはどのように学力を維持、向上していけばよいのでしょうか。
- 家庭でできるオンライン学習の導入
まず、家庭で子どもの学力を維持するには最低限子どもが勉強できる環境を整え、自宅にて学習する時間、そして適切な学習材料を設ける必要があります。コロナウィルスによる子どもへの影響をインターネットで検索すると、「学力低下」を懸念する内容の記事で溢れています。一方で、その対策としてオンライン授業や学習アプリの導入などインターネット環境に頼った新たな学習方法に注目が高まっていることが目につきます。日本はアメリカや韓国に比べるとオンライン授業の導入やICT教育(パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育手法)の活用推進が遅れていると認識されておりますが、今回のコロナウィルスによる外出自粛の影響で、こういったインターネットを活用する学習の必要性が浮き彫りになりました。では家庭でできるオンライン学習にはどのようなものがあるのでしょうか。
・オンラインクラスベネッセ(benesse.co.jp)やスマイルゼミ(smile-zemi.jp)などの有料学習教材―――これらは有料教材のため、経済的な負担になることが懸念されますが、子どもの年齢に合せて見合った教材を使用することができ、子どもの興味を惹く教材内容となっているので継続しやすく、またこれらのサービスを利用している他人の子どもとも情報を共有することで子ども間の競争意欲を育むこともできるのでお勧めです。
・オンライン家庭教師―――子どものタイプ、年齢、能力を考慮してマンツーマンでじっくりと学習サポートを依頼できます。こちらはいくつか提供している会社がありますが、教師と子どもの相性や、1コマあたりの料金も会社によって差があるので、じっくりと比較し、無料体験などをしてからの入会をお勧めします。
・無料学習支援サービスの利用―――有料教材は経済的につらいという方には、今回のコロナの影響で家庭学習の教材を無料公開、提供している企業や団体のサービスを大いに活用しましょう。期間限定のものが多いので、今からのかたはお早めにチェックされてください。
例)「学校法人NHK学園高等学校」―――NHK高校講座を視聴しながら英語と数学のレポート課題をネットで無料添削。申し込み期限6月15日(月)、学習期間 7月31日まで/「小学生限定:おうちで個別オンラインプログラミング無料授業」―――5月11日~6月30日の水曜日~日曜日で開催中。/「DeskSTYLE」習熟度チェックテストの無料配布―――小学校4年生から中学3年生までを対象にオンラインで習熟度チェックテストのダウンロードが可能。提供期間2020年6月30日(火)まで
- 早寝早起きで家庭でも学校と変わらない生活習慣を
子どもは家で過ごすと、学校や施設のように決められたタイムスケジュールがないため、生活のリズムを簡単に崩してしまいます。自宅で過ごすからこそ早寝早起きを最低限実施し、生活リズムを整えやすい環境を作ってあげることが大切です。昔から「早寝早起きは三文の徳」という諺がありますが、実際に早寝早起きを実践したことで、心のゆとりがうまれたり、仕事の成果が上がったりした事例が多くあります。実際に2018年に実施された調査(東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所による子どもの生活と学びに関する親子調査)の結果によると、生活習慣が身についている子どものほうが学習能力も高い傾向にあることが証明されています。つまりは、自粛を強いられている子どもたちにとっても、早寝早起きをすることで生活習慣を整え、心に余裕のある生活を営むことで、計画的に学習し、学力を向上することが実現できるのです。生活の乱れを感じる方は是非今からでも早寝早起きに挑戦してみてください。
≪ポジティブ(肯定的)な環境と言葉から育む子どもの成長≫
自粛生活の良いところは、親子での時間が充分に長いということです。学校に行かないと子どもの学力にばっかり気をとられて、ついつい強制的に勉強させようとしてしまう方も多いかと思います。しかし、突然自粛を強いられて、外でも遊べず、友達にも会えない子どもたちにとっては『ストレス』がつきものです。一方的に一日のスケジュールを親が決めて子どもに強制したとしても、親の思い通りにはならないのが子どもです。
自宅にいることで毎日が休み感覚の子どもたちは、ゲームもしたいしテレビもみたいし、運動もしたいし、遊びたいしと欲求の固まりです。それと同時に、生活が制限されていることに対するストレスを抱えています。だからこそ子どもが自分の力で考え、実行することをポジティブにサポート、提案してあげることが理想的です。親子の時間が長いからこそしっかりと親子でのコミュニケーションをとり子どもへの理解を深め、成長を促してみましょう。
- 家庭での親子間コミュニケーションを大切に
まず、コミュニケーションをとるうえで意識するとよいのが以下3点です。
・子どもの本当の欲求を理解する
・子どもが現在やっていることから自然の流れで次の動作へ移行できるよう提案
・子どもの自主性を尊重する(導く)
例えば、勉強をしなさいと促してもずっとテレビを見続ける子どもに対して、繰り返し勉強しなさいと言っても効果はありません。なぜなら大半の子どもは勉強したくないからテレビを見続けるのです。しかし、実際にしっかり子どもの欲求に耳を傾けると、必ずしもテレビを見たくて見ているのではなく、ほかにやることが見つからないから見続けるというパターンも多いです。その場合、そばで子どもの欲求をしっかり確認してあげることで、勉強以外の何かほかの提案を促してあげることができるかもしれません。「勉強しないのだったら何がしたいの?」と一言声をかけてあげるだけでもその瞬間子ども自身で何がしたいか自発的に考えて行動することができます。そこで子どもがやりたいことを尊重したうえで「じゃあ今から~してそれが終わったら~するのはどう?」と子どもと一緒に相談しながら予定を決めていくほうが親子でストレスを抱えずに一日の課題にとりくめるのではないでしょうか。そして苦手な勉強に挑戦する気になったときは「やる気になったんだね。最後までがんばれるといいね」と応援してあげましょう。
- お役立ちポジティブコミュニケーションワード!
子どもの行動に対して親がネガティブな反応をしてしまうと、その場の環境自体がネガティブになりがちです。そんな親子間のコミュニケーションを円滑にポジティブな環境でできるように以下、ネガティブになりそうなときに役立つポジティブワードを検索してみました。
・自分の感情で相手を非難したいとき:感情と事実(理由)をわけて伝える
「なんでそうなるの?」⇒「(悲しい/驚いた~から理由をききたいな)」
「勝手にしなさい/やるきないんだろう」⇒「私は~されると悲しいな/私は~を信頼したいな」
・言い訳したいとき:自分の非は受け止めて理由を説明する
「だって」「あなたが~するからこうなった」⇒「そうだね、~についてはごめんね。~の理由でこうなったんだよ」
・相手を否定したいとき:否定ではなく改善策をつたえてみる
「ダメだよ」⇒「ここをこうしてみたらもっとよくなるんじゃないかな」
他にも、ネガティブワードをポジティブに変える例はいっぱいあるのですが、まずは、ご自身の言葉でいつも子どもたちに発している言葉がネガティブになってないか意識して、もしネガティブワードをたくさん使ってしまっているようでしたら、どう言い換えたらポジティブに伝わるかを習慣づけてみてください。
子育てはシンプルなものではありません。100人子どもがいたら100通りの方法があるでしょう。また日々状況は変化してますから、その変化を楽しみつつポジティブに子育てを楽しめるマインドを親子ともに養う必要があるのかもしれません。上記は自粛中の子育てについて私なりに考えてみた内容ですが、少しでも多くの方の参考になれば嬉しいです。
タグ: コミュニケーション, コロナウイルス, 休校, 外出自粛, 学力低下, 子どもの教育