小学校の英語教育で求められる力。教員の苦悩と家庭の関わりも紹介

2020年度から始まる新学習指導要領では、小学校5年生から英語が教科化され、小学校3年生からは外国語活動が始まります。
今までの小学校では、外国語や海外の文化に触れる総合的学習の時間の一つであった英語の時間が、新たに教科化することによって、どのように変わるのか、親御さんはどのように対応すればいいのか、悩みは尽きないですよね。
英会話や英語の塾は、子ども習い事として人気がありますし、教科化するにあたって、親御さんも英語について関心が高くなっていることがよくわかります。これからのグローバル化やAIの時代など激動の時代を生きていく子どもに、英語力を身につけさせたいと思う親御さんはとても多いです。
今回の記事では、「小学校の英語に求められる力」と「小学校教員の苦労」と、「家庭での関わり方」についてご紹介します。

●小学校3・4年生の外国度活動に求められる英語力
小学校3・4年生を対象とした外国語活動に求められるレベルはどの程度のものなのか、H29年度の学習指導要領からは、下記の内容が書かれています。

第1 目 標
 外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,話すことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

上記の内容からは、小学校3・4年生を対象とした英語では、単語や文法など、これまで英語教育の基本とされていたものを学ぶことが目的ではないことがわかります。あくまでもコミュニケーション能力の育成を目標にしています。

学習指導要領では、外国語活動の目標は3つに分けられています。

(1)外国語を通して,言語や文化について体験的に理解を深め,日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。

(2)身近で簡単な事柄について,外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力の素地を養う。

(3)外国語を通して,言語やその背景にある文化に対する理解を深め,相手に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

上記の内容から、外国語活動で身につけたい力は、英語をツールとして使い、外国の文化や背景を学習し、コミュニケーションの一つとして親しみ、活用できるよう積極的に学ぶ姿勢を身に着けることと読み取れます。
日本人は、英語を使う機会が少ない上に、その少ない機会さえ避ける傾向があります。
TOEICで満点近くをとっても、英会話がほとんどできない日本人は珍しくありません。
英語に限らず、言語は使うことで上達します。文部科学省は、英語に関して、「話す力」に重点を置くように大幅に変化させました。中学校では、日本語を話さない英語の授業も検討されています。

●小学校5・6年生の英語に求められる力
小学校5・6年生からは、英語が教科になるので、評価がつきます。親御さんが気になるのは、通知表に記載される評価ではないでしょうか。
親御さんが未就学児から小学校低学年までに、英会話や英語の塾に通わせる理由は、英語を楽しく学んでほしいという意見もありますが、学校で良い評価を得るための早期教育として捉えている部分もあります。

では、小学校5・6年生の英語(外国語科)はどのような目標になっているのか、H29年度の学習指導要領から引用します。

第1 目 標
 外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

上記の目標を見ると、小学校3・4年生の外国語活動からの繋がりを受け、コミュニケーンの基礎を築くとともに、読み書きも新たに加わることがわかります。読み書きも加わるとなると、急に中学生の英語のような授業や評価を想像してしまいますが、学習指導要領には、目標を3つに分けて下記のように記載しています。

(1)外国語の音声や文字,語彙,表現,文構造,言語の働きなどについて,日本語と外国語との違いに気付き,これらの知識を理解するとともに,読むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身
に付けるようにする。
(2)コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,身近で簡単な事柄について,聞いたり話したりするとともに,音声で十分に慣れ親しんだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力を養う。

(3)外国語の背景にある文化に対する理解を深め,他者に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

上記の内容から、あくまでも読み書きは、コミュニケーションの活用の一つとしての位置づけであることがわかります。
どのようなテストになるかは学校によりますが、評価は、中学校のようなものではなく、英語の知識を使いつつ、間違いを恐れずに積極的にコミュニケーションをとろうとする態度が評価されます。

●大学入試で必要とされる英語力
2019年、大学入試の英語は大きく変わろうとしています。「書く」「」読む」「聞く」「話す」の4技能を入試で試験する方針です。今まで「話す」技能を見る試験を行ってこなかったため、どのような試験になるのか、学校現場でも問題になっています。
どんな内容になるとしても、子どもたちは、大学入試までに英語の4技能をすべて身に着けることが求められています。
特に、「話す」技能は、2019年現在は、試験で試す機会があまりなく、学校現場か学習塾での狭いコミュニティの中でしか評価されません。これは子どもたちにとっても、親御さんにとっても大きな不安要素になります。
大学入試の模擬試験も変わりつつあるので、近いうちに「話す」技能を評価する試験もできるかもしれません。

●英語の授業を行う小学校教員の苦悩
小学校教員の勤務について、親御さんはどの程度知っているでしょうか。
小学校教員は、すべての教科を担任が受け持っています。学校によっては、「体育」「音楽」「技術家庭科」「美術」の技能教科だけ、別の教員がつくこともありますが、基本的には担任だけで授業をしています。
人には得手不得手があるので、小学校教員も苦手な教科はあります。例えば、理科が苦手な小学校教員の為の講座や、ワークショップも開催されています。小学校教員は、常にすべての教科を研究し、授業に役立てようとしています。
英語が教科化されるにあたり、小学校教員は今まで経験のない、小学生を対象とした英語を教えることになります。もちろん、教員は教科化されることが決定したときから、研修や研究を繰り返して、万全の体制を整える努力をしていますが、教員の不安は大きいです。
もう一つの問題として、ALTの導入が間に合っていないことがあります。小学校英語で重視される「話す」技能の為、ALTが毎時間授業に参加できる状態が理想ですが、現状は厳しいです。
小学校も経験のないことなので、手探り状態であることに変わりありません。子どもが受ける授業はその時だけのものなので、小学校教員のプレッシャーは大きくなるばかりです。

●小学校の英語の授業について、家庭での関わり方
小学生の英語では、親御さんが受けてきた英語のような文法や長文読解をすることはほとんどありません。小学校の英語では、英語の理解度や結果を求めるのではなく、間違いを恐れず、英語を使ってコミュニケーションをとろうとする意欲を育むことに重点を置いています。
ご家庭では、子どもとのコミュニケーションの一つとして、英語を取り入れて、英語で自分の気持ちを伝えようとして工夫を凝らしている姿をほめてあげましょう。
注意点としては、親御さんが正解をすぐに教えないことと、間違いを指導しないことです。
子どもは英語の初心者です。たくさん間違えて、考えたり、調べたりすることで成長します。親御さんは、子どもに英語での会話が楽しいと思える環境作りをおすすめします。

●まとめ
「小学校の英語に求められる力」と「小学校教員の苦労」と、「家庭での関わり方」についてご紹介しました。
英語教育に関心が高い親御さんは、子どもが円滑に英語の授業に入れるように、どんな対策を行えばいいのか悩むところです。
子どもには発達段階に応じた教育の方法があります。もちろん、英語教育に関しても適切な方法が研究されています。英語力を身に着けるため、早期教育を行う必要はありません。
この記事を参考に、子ども発達段階と、子ども自身の意欲に合わせて、ご家庭に合った英語教育を試してみてください。

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